- 「起業=センス」という思い込みが、一番の足かせだった
- 業態は戦略で選ぶ(単価・回転・遠方訴求・中毒性・提供速度)
- 初日は想像と全然違う。現場は無数の小さな学びの連続
- それでも成否を大きく分けるのは、ブランディングだった
- 所持金3,000円から朝ラーメン専門店を立ち上げ、行列店化。「ブランディングで99%決まる」を現場で実証
- 500人超のSNS運用者を統括し、10の事業に携わった経験から解説
「どうにでもなれ」で踏み出した
私は小学生の頃から経営者になりたいと思っていました。それなのに、長いあいだ動けませんでした。起業はセンスの問題で、失敗したら立ち直れない——そう思い込んでいたからです。怖さが先に立って、何も始められない。今思えば、この思い込みこそが最大の足かせでした。
転機は、就活の準備が始まるタイミングでした。このままでは何も変わらないと思い、「どうにでもなれ」と飛び込んだのが飲食店でした。理由は単純で、身の回りに飲食が多く、馴染みがあったからです。立派な勝算があったわけではありません。でも、この一歩を踏み出したことが、すべての始まりでした。完璧な準備を待つより、動きながら学ぶほうが、はるかに早い。これが最初の学びです。
なぜ飲食で、なぜラーメンだったのか
飲食は馴染みで選びましたが、ラーメンという業態は戦略で選びました。正確には、師匠に選んでもらいました。理由は明確です。客単価が安定していること、回転率が良いこと、麺類は遠方からもわざわざ味を求めて来てくれること、中毒性があること、そして茹で時間が短く提供が速いこと。どれも、小さく始める個人店にとって理にかなった条件です。
正直に告白すると、私は朝にラーメンを食べたことが一度もありませんでした。今でも一度もありません。つまり、どんなお客様が来るのかも分からないまま開店したのです。それでも成立したのは、業態選びが感覚ではなく、条件から逆算した戦略だったからだと思います。何を売るかを、好みではなく勝てる構造で選ぶ。これは、のちのSNS運用の考え方にそのままつながっています。
開店初日の現場、想像と違ったこと
開店初日、店の前にはオープン30分前から30人ほどが並びました。ありがたい光景でしたが、現場は想像と全く違いました。まず、麺を茹でるのがとにかく難しい。麺を一度にたくさん入れるとお湯の温度が下がって硬くなる。何度も茹でると澱粉でお湯が茶色く変色する。冬は麺が乾燥して三日も持たない。教科書には載っていない現場の壁が、次々に現れました。
設備の設計も学びだらけでした。カウンター一枚あるだけで、向こう側のテーブル席へ料理を運ぶのが驚くほど大変になる。現金を触るたびに手を洗わなければならず、決済はPayPayが良いと痛感しました。そして初日は、開店からわずか20分で限定40杯に到達し、完売しました。準備した“想像”は、現場の“実際”の前ではほとんど無力でした。だからこそ、やってみて、直しながら学ぶしかないのです。
「ブランディングで99%決まる」の意味
現場は失敗と学びの連続でしたが、それでも店が成立し、話題になったのは、師匠に叩き込まれた一言のおかげです。「ブランディングで99%決まる」。最初は言葉の重みが分かりませんでしたが、やるほどに身に染みました。味や設備の細かな失敗があっても、コンセプトと世界観、ポジショニングが尖っていれば、店は選ばれるのです。
「狂える味」というコンセプト、朝ラーメンという意外性、限定という希少性。これらが束になって、「行ってみたい」を生みました。裏を返せば、どれだけ良い商品でも、ブランディングが弱ければ埋もれます。この学びは、今のSNS運用の中核そのものです。私たちが投稿術より先にコンセプト設計を重視するのは、あの店の現場で、その威力を体で知ったからです。
いま振り返って、開業を考える人へ
所持金3,000円から店を開けて学んだことを一つに絞るなら、「センスがないと無理」というのは思い込みだということです。必要なのは才能ではなく、戦略で業態を選び、現場で直しながら学び、ブランディングで尖らせること。どれも、後天的に身につけられる型です。怖さの正体は、たいてい「やったことがない」というだけの話でした。
私はこの原体験を、そのままSNS運用に応用しています。戦略で設計し、現場のデータで直し、ブランディングで選ばれる状態をつくる。事業を自分ごととして立ち上げた人間だからこそ、お客様の事業にも同じ当事者意識で向き合えます。何かを始めたいけれど怖い、という方がいたら、まずは小さく踏み出す設計を一緒に考えます。お気軽にご相談ください。