- 良いもの≠売れる。売れない原因は、品質でなく“届け方”にある
- 届け方は三層:①誰に(コンセプト)②どう見せるか③どこで届けるか
- 師匠の教え「ブランディングで99%決まる」を現場で体感した
- フックの束で“語りたくなる”状態をつくり、導線を切らさない
- フォロワーでなく売上から逆算し、売れてる届け方をTTPする
良いものは、良いだけでは売れない
「良いものをつくれば、いつか売れる」——多くの事業者が信じるこの考えは、残念ながら幻想です。世の中には、素晴らしいのに埋もれている商品が無数にあります。売れない原因は、品質の低さではなく、その良さが、届くべき人に、届く形で伝わっていないこと。つまり“届け方”の問題です。
私はこれを、ラーメン店の現場で痛感しました。師匠に叩き込まれたのは、「ブランディングで99%決まる」という言葉です。味や設備に多少の粗があっても、コンセプトと見せ方が尖っていれば、店は選ばれる。逆に、どれだけ良い商品でも、届け方が弱ければ埋もれる。良いものを、良さゆえに選ばれる状態にする——それが“届け方”の設計です。以下、三つの層に分けて解説します。
第一層:誰に届けるか(コンセプト)
届け方の第一層は、「誰に届けるか」です。ここが曖昧なまま、万人に売ろうとすると、メッセージは薄まり、誰の心にも刺さりません。人は、自分ごとに感じられないものにはお金を払わない。だから、届けたい人を絞り、その人にとっての価値を尖らせる必要があります。これがコンセプト設計です。
私はラーメン店を「朝しか開けない専門店」という一点に尖らせました。全員に好かれる無難な店を目指していたら、埋もれていたはずです。「誰の、どんな気持ちに、何を約束するのか」を言い切る。怖くても絞る。その勇気が、強い共感と、価格競争に巻き込まれない選ばれ方を生みます。届け方は、この一層目から始まります。
第二層:どう見せるか(変化と共感)
誰に届けるかが決まったら、次は「どう見せるか」です。同じ商品でも、見せ方一つで伝わり方はまるで変わります。私は認知科学を学び続けていますが、人の心が最も動くのは、スペックの説明ではなく、「変化」を見たときと「わかってくれる」と感じたときです。
だから、商品の機能を並べるのではなく、それを使った後の変化や、憧れの暮らしを見せる。同じ悩みを持つ人への共感から入る。「こんなことで困っていませんか」と語りかけ、解決した先の姿を描く。人の認知と行動の仕組みから逆算して見せ方を設計すると、良さが初めて“伝わる”ものになります。良いものを、伝わる形に翻訳する——それが第二層です。
第三層:どこで届けるか(発見欄・地図・キーワード)
三層目は、「どこで届けるか」です。どれだけ良いコンセプトと見せ方があっても、届くべき人の目に触れなければ意味がありません。いまのInstagramで新しい人に出会う主戦場は、発見欄とキーワード検索、そして地域ビジネスなら地図(MEO)です。
発見欄に乗るには、保存や視聴時間といった良い反応を生む中身が要ります。キーワードで見つかるには、名前欄やキャプションの言葉の設計が要ります。ハッシュタグを大量に付けることではありません。届けたい人が、どこで、どんな言葉で探しているのかを見極め、そこに現れる。この“出会いの場”の設計が、良いものを売れるものに変える最後の一層です。
フックの束で、“語りたくなる”状態をつくる
三層の設計に加えて、強力に効くのが「フックの束」です。私はラーメン店で、ピンクメガネ、割烹着、慶應生、40食限定、200日連続完売といったフックを意図して用意し、「これは紹介したくなる」という状態をつくりました。その結果、自らDMを送ってメディアに取り上げられ、口コミも広がりました。
どんな良い商品にも、探せば語りたくなるフックがあります。意外な背景、突き抜けた数字、作り手の物語、独自のこだわり。一つひとつは小さくても、束ねると強い引っかかりになります。人が誰かに「これ良いよ」と伝えたくなるのは、この引っかかりがあるとき。良いものを、語りたくなる状態に設計することが、口コミという最強の届け方を生みます。
導線を切らさない
三層で届け、フックで興味を持ってもらっても、「次の一歩」への道筋がなければ、そこで途切れます。良い商品に出会い、欲しいと思っても、どこで買えるのか、どう申し込むのかが分からなければ、人は行動しません。プロフィールの一言、リンク、ハイライトが曖昧だと、せっかくの興味が売上に変わらないのです。
導線を整えるとは、見た人が迷わず購入や来店にたどり着けるようにすることです。ゴールに合わせて、EC・地図・予約・問い合わせへの道を最短で示す。知りたい情報を先回りで解消しておく。良いものを、良さゆえに買ってもらうには、興味から行動までを一本の流れとして設計する必要があります。
フォロワーでなく、売上から逆算して握る
ここまでの設計を貫く原則が、フォロワーではなく、売上から逆算して握ることです。私はラーメン店で、フォロワーの多いインフルエンサーが取材しても来店に必ずしも繋がらないことを実体験しました。数の見栄えは、売上を約束しません。追うべきは、保存・プロフィール遷移、そして購入という事業の成果です。
目標の売上から、必要な来店・購入数を出し、それを生むプロフィール到達を出し、投稿へ落とし込む。この逆算ができると、どの届け方が売上につながったのかが数字で見えます。良いものが売れないのは、たいてい届け方の設計と、追う指標がずれているから。KPI(目標の達成度をはかる指標)を売上に据え直すことが、その状態を抜け出す起点です。
売れている届け方をTTPして、磨く
最後は、実務です。ナカノヒトのメソッドはTTP(徹底的にパクる)——すでに売れているものの届け方を構造から分析し、その原理を自社に翻訳して取り入れることです。良い商品なのに売れているアカウントの、コンセプト・見せ方・出会いの場・導線を分析し、応用します。見た目でなく、売れている構造を掴むのがポイントです。
良いものをつくる力があるなら、あとは届け方を設計するだけです。誰に、どう見せ、どこで届け、どう行動してもらうか。この三層と導線を、売上のKPIから逆算して組み立てる。良いものが、その良さゆえに選ばれる——それを実現するのが私たちの仕事です。「良いのに売れない」と感じているなら、まずは無料で、どこに届け方の穴があるのかを一緒に見つけましょう。